午後の悠々館には賑やかなお喋りの声がさんざめいていた。
だが、女性客に愛想を撒きつつ忙しく働く崇を見やる紗雪の表情は、憮然としたものだった。
「どうしたの?」
熱い茶に息を吹きかけて冷ましながら、須桜は首を傾げる。
「……私塾の男の子達がね、女はやっぱ乳だよな! いや尻だろ! みたいな話をしてたの。崇くんとか弐班の男連中もやっぱりそういう事考えるのかしらと思って」
「んー……どうだろ。あ、でもこないだ影虎と紫呉が
『大事なのはさあ、大きさだけじゃないんだよ。手触りとか? あと形とかも大事だと俺は思うね』
『乳の話ですか』
『茄子の話』
って会話してたけど」
「ああ……うん、そう……。へえ……」
紗雪はいかにも疲れました、という素振りで机に沈む。
「え、どうしたの紗雪?」
「何でもない……」
「お待ちどーさまなんだぜー」
てきぱきと茶菓子を机に並べてから、崇は妙な節回しで歌った。
紫呉の兄貴はむっつり助平ー。